EV化が進む中、モータと合わせて重要となる技術的な要素は電池です。車載用の電池は、鉛電池やニッケル水素電池から、現在ではリチウムイオン電池から全個体電池へと飛躍的に技術が進歩しています。
日産「リーフ」にも搭載されているリチウムイオン電池ですが、その特徴として他の電池と比較しエネルギー密度(電池のサイズに対して、どれだけの電力を蓄えることができるかを示す指標。単位はWh/kgまたはWh/l。バッテリーの持久力の基準になる)が非常に高いことが挙げられます。その性能は、鉛電池の約4倍、ニッケル水素電池の約2倍とも言われています。
性能は極めて優秀とされるリチウムイオン電池ですが、欠点として安全性が挙げられます。リチウムイオン電池は、材料に発火しやすい揮発性液体有機溶媒を使う必要があり、衝撃による破損や高温環境での使用によって、発火・爆発を起こす可能性がありました。また、リチウムは水と反応しやすい性質を持つため、水溶液を電解質に使用することが困難でした。
自動車業界では、リチウムイオン二次電池でも組立時の工夫により充分な安全性を確保できると考える自動車メーカと、電池単体での安全性に重きを置く自動車メーカとに分かれており、前者はEV開発に積極的に取り組み、後者は消極的な傾向があります。
本格的なEV普及の為には、あらゆるメーカがEVの開発を加速する必要があります。言い換えれば、電池の安全性向上が無ければEV革命は止まってしまうのです。
全個体電池は、可燃性の電解質に代えて、固体でありながらイオンの動きを妨げない材料を電解質として利用します。不燃性の材料を使えば発火・爆発する可能性はなくなり、さらに固体材料で正負両電極の位置を固定して隔てればショートする可能性も低減します。
日本では、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が、企業23社が参加する100億円規模の開発プロジェクトを発足させて、全固体電池の開発を進めています。計画では2022年度までに基盤技術を確立し、2030年ごろにはエネルギー密度を現在の3倍に当たる600Wh/Lにすることを目標にしています。コストについても、広く車載向けとして採用されることを目的とし、現在の1/3を目標値としています。
《参考》
〇トヨタ自動車:2019年 小型EV「COMS」に全個体電池採用、実験走行成功。